そもそもアクティブラーニングとは?
アクティブ・ラーニングとは、能動的学習のことであり、学生が自ら受け身ではなく、能動的に学びに向かうように設計された学習法のことです。
簡単に言うと従来の「受動的な学習(一方向的な知識伝達型講義を聴く授業)」とは真逆の「積極的・能動的な授業・学習」のことです。
能動的な学びを実現するために、問題解決型学習、体験型学習、発見・調査学習などを行います。
教育機関での具体例としては、グループワークやディスカッション、ディベートなどが例としてあげられ、学習者の認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験といった能力の向上や育成を目指しています。
なぜ今アクティブラーニングが注目されているのか
文科省が従来型の学習(受動的な学習)から能動的な学習であるアクティブラーニングへの移行を推進しているのには社会的な変化が影響しています。
時代が進むにつれ、インターネットが発展し、社会の情報化が加速しており、情報、技術、などのインプットのスピードが今まで以上に上がり続けています。
それらの影響により、情報社会、グローバル化が急速に進み、自ずと社会は急速な変化を遂げているでしょう。
今回の記事では、情報社会、グローバル化という2つの視点から、アクティブラーニングの必要性について述べたいと思います。
1,情報社会
情報社会において、多くの情報があふれる世の中で、自ら最適だと思う情報を選択し、その情報を活用して、問題や課題に対してアクションを起こさなくてはなりません。
先生から、常に解き方や答えを教えてもらっていては、このような能力は伸び悩むでしょう。
2,グローバル化
グローバル化においては多様性を受け入れる力が必要になっていきます。
一方的な学習をするのではなく、多くの人と考えや意見を共有し、子供のうちから多くの価値観に触れることで、そのような力が身に付くと考えられます。
そのため、アクティブラーニングで行われる、グループでのワーク、ディスカッション等は、今後多様な世界を生き抜いていくための力を身に付けるのに最適だといえます。
このように、今までのように従来型の、特定の型にはまった学習、思考を続けていては、目まぐるしく変化していく世の中、環境に対して対応することができません。
そのような変化が多い世界では、自ら考え、行動することができる能力が重要になってくるのです。
それらの力を身に付けるためにもアクティブラーニングは最適な学習法だと言えます。
ここからは、アクティブラーニングの学習効果・実践例について紹介していこうと思います。
アクティブラーニングの効果とは?
アクティブラーニングのように能動的な学習を生徒自ら行うことには、どれほどの効果があるのでしょうか。ここでは、アクティブラーニングの効果を根拠に基づいて紹介したいと思います。
アクティブラーニングの研究成果を示すのに最適な研究があります。
それは、オハイオ州立大学教育学教授のエドガー・デール氏が提唱した「経験の円錐」です。このピラミッドは各学習方法(講義、グループワーク、他人に教えるなど)の知識定着率を表しています。
(画像参照元:キャリア教育ラボ)
最も定着率が高いのが「他の人に教える」に対して、講義を受ける「座学」はわずか5%と大きな差があります。
つまり、従来の講義型の学習方法は、一番定着率が低く、効率が悪いということになります。
大学では、90分、中学では60分という決められた時間をいかに有効に使えるかが学習の鍵です。
一方で、アクティブラーニングの手法の中に含まれる「実演を見る(調査学習)」、「グループ討論」、「自ら体験する」等は、それぞれ座学に比べると、最低でも約10倍以上もの定着率です。
これらのことから、アクティブラーニングでは従来の座学中心の講義では得られないほどの学習効果が期待できることが分かります。
そんなアクティブラーニングをどのように実施すれば、より高い効果を得られるのでしょうか。
アクティブラーニング成功の3つのポイント
【学生自ら学ぶこと】
まずアクティブラーニングでは、学生自ら学ぶことに興味や関心を持ち、自分の将来と学習との関連性を意識し、見通しを持って粘り強く取り組むことが何よりも大切なことだとされています。
先生が全て教えるのではなく、自ら考え答えを導き出す過程こそがアクティブラーニングの肝となります。
【対話しながら学ぶこと】
アクティブラーニングでは、生徒同士の対話や、先生、地域の人と対話をするということも非常に重要になってきます。
多くの人と対話することによって、自分の考え方だけに囚われることなく、自分の思考、視野を広げることができます。こういった対話的な学びが実践できているかどうかも、アクティブラーニング成功の秘訣となります。
グループワークなどを行い、生徒同士や地域の方々との対話の機会を増やしましょう。
【今後に活きる学びを】
アクティブラーニングを実施してもその場で学習が終わってしまっては意味がありません。
その後の人生にどういう影響を与えるのか、その学習によって、生徒がどう考え、どう行動し始めるのかが重要だと思います。
そのため、インプットのみならず多くのアウトプットをする必要があります。
そして、それに対して、生徒同士、先生、地域の方々からフィードバックをもらうことによって、今後の学習にも活かせる学びに繋がります。
最後に
ここまでアクティブラーニングの効果、そして実践の際のポイントについてご紹介してきました。アクティブラーニングのポイントには「今後に生きる学びを」とありました。
学ぶだけではなく、実際にそれを活かして行動して初めてアクティブラーニングを実践できたといっても過言ではないでしょう。
そしてそれはアクティブラーニングを実施する側も同じです。アクティブラーニングの知識をインプットしたら、実践を繰り返しより良い学びに繋げていただけると幸いです。
FROGS流PBLワークショップ
これまで、アクティブラーニングについて紹介してきましたが、実際どう学校に取り入れていいか分からないという教育関係者の方々へ弊社が行なっている、小学生から大学生まで対応しているPBLワークショップをご紹介します。
PBLとはアクティブラーニングの手法の1つであり、現在多くの大学、高校が注目をし導入も始まっています。
地域課題解決 Workshop
身の回りで感じている地域の課題をテクノロジーを使ってどう解決するかを考えます。世界で起こっているイノベーションの事例を踏まえながら、自分たちだったらどう解決するかグループで話し合い、考えます。
人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)
時間:3時間程度
対象:中学生以上の学生
身に付くスキル:問題解決能力、アントレプレナーシップ 、思考力
SDGs Workshop
2030年に向けたグローバルアジェンダ「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の17のゴールをキーにして、PBLの手法で、持続可能な共生社会を自らの手で作るための行動をデザインしていくワークショップです。
人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)
時間:3時間程度
対象:小学校高学年以上の学生
身に付くスキル:思考力 、創造力
MESH Workshop
日本が提唱する未来社会のコンセプト「Society 5.0」で描かれる世界では、地域環境や世代を超えたIoTインフラが私達の生活を支えています。IoTと私達の関わりや変化する社会のカタチをSONYのIOT学習ツール「MESH」を使って、Hands-On Minds-Onで学んでいきます。
人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)
時間:3時間程度
対象:小学校3年生以上の学生
身に付くスキル:創造力、問題解決能力、思考力
FROGS流PBLワークショップの特徴
弊社ワークショップでは、社会課題に密着したPBLワークショップが特徴です。地域課題やSDGsなど、生徒達自身が解決したいと思える社会課題を見つけてもらい、それを自分たちならどう解決するかを考えてもらいます。
そうすることで、身の回りの社会課題に気づけるようになり、それらを解決するための問題解決能力、思考力、創造力が高まる効果があります。
また、社会課題の解決案を生み出すということを体験することによって、生徒達への達成感や自信、学びへのモチベーションへ繋がります。
さらに、「MESH」を使ったワークショップもご用意していますので、テクノロジーが私たちの生活に実際どう関わっているのか、それをどう活用していくかも学ぶことができます。
弊社PBLワークショップが気になった方はこちらから内容をご確認ください。
■参考
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