こんにちは!
最近、教育現場でよく耳にするようになった”アクティブラーニング”という言葉を皆さんは知っていますか?
アクティブラーニングは「能動的学習」とも呼ばれており、学習者である子ども達が主体的に学びを培っていく学習方法のことを言います。
そんなアクティブラーニングは、実際教育現場においてどのような効果が出ており、また教育現場から見る理想とは何か、ご紹介します。
授業で行われるアクティブラーニングって?
教育現場で行われるアクティブラーニングといっても様々で、これといった正解はありません。しかし、一般的にアクティブラーニングと呼ばれる授業の形は、学習者である子どもにとって”受動的学習”なのか”能動的学習”なのかという違いがあります。
アクティブラーニングで行われるのは、後者の”能動的学習”になります。
簡単な例で言うと、教師が生徒に向かって一方的に授業を行う形は受動的学習、授業の中で出てきた問いに対してグループディスカッションやグループワークなどの学習者同士の対話の時間があることを能動的学習と言います。
前者の授業形態では、学習者である子ども達は教師の発言や板書を必死にノートに書き写し、プリントが配られればそれを解くといった、ただただ授業に「参加している」という状態に過ぎません。
一方で、後者の授業形態では、授業の中で出てきた情報・問いを元に考え、グループディスカッション等を通して考えを深めていくといった時間があることで、インプットとアウトプットを繰り返していく、学習者が主体となった学びの時間となります。
実際に行われているアクティブラーニング例
先にも述べたように、アクティブラーニングを授業に取り入れていくにあたって正解はありませんし、教師によって手法も様々です。では、ここでいくつか実際に教育現場でも取り入れられているアクティブラーニングの例を2つ紹介したいと思います。
①Think-Pair-Share
Think-Pair-Shareは、他者の意見と比較をしながら、自分の考えを明確にしたり深めたりしていくのに有効的な手法となっています。また、クラスやグループ全体での討論をするときの準備にもなる手法です。
・実施方法
1)教員が全体に1つの質問をしたり、問題を出したりします。
2)個別に数分間考える時間をつくります。
3)その後、ペアを組んでお互いに自分の考えを紹介します。ペアの考え方に違いがある場合には、それぞれの考えの根拠を明確に説明します。また、双方の意見を併せて1つの意見にまとめることができないか検討してみます。
4)最後に4~6人のグループになり、それぞれのペアで話し合った内容を紹介します。
②ジグゾー
ジグソーは、一度4~6人のグループをつくります。そこで各メンバーが自分の学習する内容を相談して決めます。次に別のグループで自分が割り当てられた内容を学習して、もともと所属していたグループに専門家として戻ります。
・実施方法
1)教員から学習するテーマとそれを4〜6個に細分化した学習する内容を伝えます。
2)グループ内で各メンバーが担当する学習内容を決めて、一度グループを解いて学習内容別に専門家グループをつくります。
3)それぞれの専門家グループで担当する内容の学習を深めるとともに、それを他者にわかりやすく教える方法を考えます。
4)専門家グループを解散して、もとのグループに戻り担当した内容を教え合います。
教育現場でのアクティブラーニング実施の現状
小・中・高校生の意識調査によると、冒頭で述べたいわゆる受動的学習に分類される黒板を用いて教える授業に対する子供達の意識は、好きであるという傾向が多く見られます。
一方で、友達と話合いながら行う授業やグループでの考察、調べ学習などの授業も好まれているという結果がでています。
逆に、苦手意識を持っている子供が多いのが調べ学習や学んだことを自分の言葉で表現すること、発表を行うことでした。
この結果から分かることは、日本の教育現場ではアクティブラーニング、いわば能動的学習の時間は一定数行われているが、それと同時にまだまだ授業の工夫を行っていく必要があるということです。
子どもの成績に関係する?
アクティブラーニングの活動は、多く行えばその分子供達の成績が上昇するとは限らないのです。その理由としては、こども達の教科に対する「好き」、「嫌い」という問題が大きく影響しています。
この場合、得意不得意であることを抜きにすると、嫌いな教科において能動的な学習を行おうとすれば、より一層嫌いという意識を持ってしまうことに繋がるかもしれません。
しかし、別の見方をすれば、苦手意識を持っている教科においてグループ活動などを行うことによって、子供達による教え合いや交流を通して嫌いな教科が好きに近づくことは可能性として十分にあり得ます。
小学校、中学校、高校でアクティブラーニングの活動は違う?!
小学校と中学校・高校ではアクティブラーニングの活動の現状が大きく異なります。
小学校では、アクティブラーニングの活動が学級ごとにバラつきがあります。一方、中学校・高校では学級ごとのではなく学校ごとにバラつきがあるというのが現状です。
小学校においては、学級担任制であるという特徴から授業計画から実施まで教師個人によって任されるため各学級ごとにバラつきが生まれます。
一方で中学校・高校では、学級担任と教科指導教師が異なるという特徴から、学級ごとではなく学年、学校単位で授業計画を行う場合が多いためアクティブラーニング活動が行われている学校かそうでないかというバラつきの違いが生まれるのです。
教育現場から見る理想
アクティブラーニングの教育現場における理想としては、学級や学校ごとによって活動にバラつきが出ることを避けることだと考えられます。
全ての子供達に対して質の高いアクティブラーニングを提供するためには、まずはアクティブラーニングの重要性を多くの教員が認識をすることや様々な手法を知っていくことではないでしょうか。
しかし、情報収集するだけではなかなかどのように実践していけばいいか分からず戸惑ってしまうこともありますよね。
そこで1つご紹介したいものが、弊社が行っている教員向けのPBL研修です。
PBL(Project Based Learning)は、自ら問題や課題を発見し解決する能力を養うことを目的とした教育方法であり、学生が主体的に学ぶアクティブ・ラーニングの一種とされています。
このような研修やワークショップなどに参加してみることも1つの手法だと思います。
詳しくはコチラをご覧になってみてくださいね。
浜松未来総合専門学校にて教員向けPBL研修を実施(株式会社FROGS)
まとめ
アクティブラーニングと呼ばれる授業の形は、学習者である子どもにとって”能動的学習”が行われている状態のことを指します。
授業の中で取り入れていくに当たって、これといった正解はありません。様々な事例を参考に、まずは試してみることが大切です。
アクティブラーニングを行うことは、子供達の学力に直結するとは限りませんが、苦手意識をもつ教科への意識を良い方向へと変えるきっかけになります。
今後一層教育現場で必要とされていくであろうアクティブラーニングは、全ての子供達に対して質の高い学びを提供するために多くの教師が認識をもつこと、資質・能力を育成する環境を整えることが必要になります。
参考
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