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PBL(問題解決型学習)とは?教育者必見の最先端教育事例を詳しくご紹介

こんにちは!

近年、大学の授業でも注目されているPBLという言葉を知っていますか?

新しい学習指導要領にも言及されている、「生きる力」を伸ばす学習手法のひとつで、日本語では「問題解決型学習」または「課題解決型学習」と言います。

また、PBLは教育現場のために生み出されたのが始まりですが、最近では企業の新人研修などでも活用されています。

今回は、PBLについて知りたい方やどのように小・中学校、高等学校でPBL授業を行えばよいか困っている教育者向けにPBLの起源や活用事例、そしてFROGS流PBLワークショップを3つご紹介します。


 
PBLとは?

PBLは問題解決型学習〔Project(またはProgram、Problem) Based Learning〕の略称で、知識を詰め込むだけの受け身な学習方法ではなく、学習者が自ら問題を発見し、解決することを重視した能動的学習方法です。

学習者が、答えや解決方法が一つだけではない問題を解決するという高い壁に挑戦することで、学習意欲を高めることができます。




 
PBLの起源

実はPBLには2つの意味があります。ひとつはProblem(プロブレム)-based Learning、もうひとつはProject(プロジェクト)-based Learningです。同じPBLでも少し内容が違います。


Problem-based Learning

1960年代にアメリカやカナダの医学・薬学教育現場で、膨大な知識量を身につけなければいけなくなったことから、必要な知識を効率的に身につけるために考えられたのがProblem-based Learningです。


教師から生徒へ解決すべき問題が提示され、その問題の解決策をまとめるための授業だったのが始まりです。


また、この提示された問題を、生徒達自身でより明確にするために情報収集や議論を行い、その問題の本質的な要素や特徴などを見定める必要がありました。


Project-based Learning

キルパトリック(W. H. Kilpatrick)が、1918 年にデューイ(J. Dewey)の考えを発展させて提案したプロジェクト・メソッド(project method)を起源としているのがProject-based Learningです。


こちらは、まず教師から領域の広いテーマを生徒に提示します。生徒達はそのテーマの中から自分たちで解決したい問題を決め、解決のための計画、実行、発表の一連の活動に取り組みます。


現在、多くの教育現場や新人研修に使われているPBLは後者のProject-based Learningを主流にしています。


 
大学教育現場でのPBL活用事例

教育現場での活用が始まりのPBLですが、現在どのように活用されているのかまとめました。


甲南大学チュートリアル型PBL情報教育

2004年に行われた甲南大学で教職科目を受講していた3・4年生を対象としていたチュートリアル型のPBLをご紹介します。

甲南大学のチュートリアル型PBLでは以下の6つのプロセスを重視しています。

① 問題に出会う
② どうしたら解決できるかを論理的に(実践的・論理的手法によって)考える
③ 相互に話し合い、何を調べるかを明らかにする
④ 自主的に学習する
⑤ 新たに獲得した知識を問題に適用する
⑥ 学習したことを要約する

この6つのプロセスを実際の授業では5つのステップに分けて進めています。

・ステップ1:教師から生徒への問題の提示
・ステップ2:グループ作業で問題の本質を見定め、情報収集・教材設計を行う
・ステップ3:問題を解決するための情報収集などを行う
・ステップ4:得た情報をもとに問題の解決策を考える
・ステップ5:各グループ発表と評価を行う

甲南大学では、全15コマでこのようなチュートリアル型PBL授業を行なっています。6つの学習プロセスを、学習内容に合わせて5つのステップに分けることで、学生が理解しやすいPBL授業を行なっています。


関西大学海外の学生と行う国際プロジェクト型学習(PBL)

関西大学の国試プロジェクト学習は、全学共通科目で1年生から4年生まで履修することができます。開講言語としては日本語ですが、海外の大学と連携し議論を行う活動も講義内に組まれています。


この授業では、以下の4つの目標があります。

1. PBL をとおして能動的かつ自主的に考え行動できるようになること
2. グローバルな視点から多文化社会についての理 解を深めること
3. 現代社会の課題について、多角 的に物事を考えるスキルを培うこと
4. 海外の大学 と連携して学習を行う際に英語を使いコミュニケーションをとることができる

授業では5つの大きな流れの中に、それぞれ2つのステップがあります。

① 状況把握
・ステップ1: シナリオを読む、または事例研究と 関連する短いビデオを見る
・ステップ2: キーワードを抽出する

② 問題発見
・ステップ3: 問題を把握する
・ステップ4: 疑問点や気になる点をグループで話 し、問題の位置付けを考える

③ 問題探求
・ステップ5: 個々の学習項目を考え、計画を立て グループと共有する
・ステップ6: 個別学習

④まとめ
・ステップ 7:学習成果の共有
・ステップ8: 学習成果を整理し、発表の準備を行う

⑤ 発表と振り返り
・ステップ9: 学習成果を発表し、質問する
ステップ10: 個々の学びを振り返る

また、海外との連携を意識している授業なので、グループ発表は英語で行われるという国際的なPBLの活用方法が特徴です。


多摩美術大学で行われている実際のPBLプロジェクト

多摩美術大学では、2006年度からPBL科目を正規のカリキュラムとして開講しています。


多摩美大学では様々なPBLの活用事例があり、その中のひとつには多摩美大学と東京大学が軸として進めている「ARTSAT:衛星芸術プロジェクト」があります。


衛星を専門家だけの「特別なモノ」から、市民の日常にある「身近なコト」へと意識を変えていくというプロジェクトです。アートとテクノロジーの融合により、宇宙を身近に感じさせ、社会に夢と希望を与えることがこのプロジェクトの目的です。


他にも、日本赤十字と連携し「日常でいのちの意味を問うプロジェクト」を行なっており、美術大学だからこそできる人道支援を、学生がアーティスト・デザイナーとして課題に向き合い、解決策を出す授業を行なっています。​​

 
中学校・高等学校でのPBL活用事例

アサンプション国際中学校高等学校

アサンプション国際中学校高等学校はPBL教育で「正解のない課題に挑戦する力」を養うことを目的としています。


中学の3年間は全員共通の問題(課題)を与えられ、その問題についてグループワーク、体験学習を行います。それらを行うことで、ディスカッションの仕方やレポートの書き方なのどアウトプットの方法を学びます。


高校の3年間は少人数のゼミに分けられ、各個人が深く知りたいと思える問題を選びます。その問題の内容に適した教師が担当となり、ディスカッションやディベート、研究発表を行います。そして、最終的にはその問題に対しての卒業論文・レポートを作成します。


和洋九段女子中学校高等学校

和洋九段女子中学校高等学校のPBL授業では、探究心を最大化させることが目的です。


教師が生徒たちへ興味・関心を引き出す質問を行い、ファシリテートします。生徒たちはこの質問に対し、お互い意見を交換しあい、思考・発表・解決を学び成長します。


この授業の中では、批判禁止というルールがあり、誰でも不安になることなく意見を言い合える環境づくりがされています。


多くの意見を聞き、選択するということを繰り返すことで思考力を鍛えています。


ノートルダム女学院 中学高等学校

ノートルダム女学院 中学高等学校のPBL授業では、「正解のない課題」に創造的に挑戦する力を育てるということを目的にしています。


生徒自らが作りたい未来を描き、その未来を実現するために解決しなければいけない課題を見つけ、その課題の現状、情報を調べます。


その後、自分たちで収集した知識・情報を元にグループでディスカッションを行います。最後に、「自分はどう考え、どうしたいのか」を発表し、その学びを行動へ促すまでがノートルダム女学院のPBL授業です。



 
世界が注目する学校「ハイテク・ハイ」

これまで日本の大学、中学校高等学校のPBL活用事例をご紹介しました。


しかし、世界にはPBL学習の先駆者として、世界中から見学者が押し寄せる学校があります。それが、カリフォルニア州サンディエゴにある「High Tech High」(ハイテク・ハイ、以下HTH)です。


HTHについて

HTHは、2000年に設立された比較的にまだ新しい高校ですが、現在は、系列の小学校、中学校なども含め、14校でPBL中心の授業が行われています。


また、HTHは裕福な子が通う私立校ではなく、特別な認可を得た公立のチャータースクールで、抽選により生徒を選ぶため、様々な人種、経済的なバックグラウンドをもつ生徒が集まっています。


授業では、決まった教科書や定期試験がなく、どんな授業をするかはそれぞれの教師にまかされているのですが、州の標準テストの成績は平均を上回り、大学進学率も米国の平均が78%に対しHTHは96%と高いのが特徴です。


HTHの授業方法について

HTHで行われた授業の一例を紹介します。


高校1年生向けに行われた人文科学の授業では「薬物」について取り扱っています。そこでは、薬物の歴史と現在それがどう扱われているのか、また生徒達は麻薬戦争について学ぶためアメリカ麻薬取締局の方にインタビューなどをして基礎知識を深めていきます。


その後、各生徒でもっと深く知りたいと思ったことについて研究し、最終的には学んだことを論文や動画にしています。


HTHのホームページでは今まで行われた授業のカリキュラム内容や、生徒の成果物、授業に対するコメントなどが見られますので、興味のある方はぜひチェックしてください。



 
FROGS流PBLワークショップ

これまで、日本・世界のPBL活用事例をお伝えしてきましたが、実際どう学校に取り入れていいか分からないという教育関係者の方々へ弊社が行なっている、小学生から大学生まで対応しているPBLワークショップをご紹介します。


地域課題解決 Workshop

身の回りで感じている地域の課題をテクノロジーを使ってどう解決するかを考えます。世界で起こっているイノベーションの事例を踏まえながら、自分たちだったらどう解決するかグループで話し合い、考えます。


人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)

時間:3時間程度

対象:中学生以上の学生

身に付くスキル:問題解決能力、アントレプレナーシップ 、思考力


SDGs Workshop

2030年に向けたグローバルアジェンダ「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の17のゴールをキーにして、PBLの手法で、持続可能な共生社会を自らの手で作るための行動をデザインしていくワークショップです。


人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)

時間:3時間程度

対象:小学校高学年以上の学生

身に付くスキル:思考力 、創造力


MESH Workshop

日本が提唱する未来社会のコンセプト「Society 5.0」で描かれる世界では、地域環境や世代を超えたIoTインフラが私達の生活を支えています。IoTと私達の関わりや変化する社会のカタチをSONYのIOT学習ツール「MESH」を使って、Hands-On Minds-Onで学んでいきます。


人数:4名以上(3〜4名を1組としたグループワーク形式)

時間:3時間程度

対象:小学校3年生以上の学生

身に付くスキル:創造力、問題解決能力、思考力


FROGS流PBLワークショップの特徴

弊社ワークショップでは、社会課題に密着したPBLワークショップが特徴です。地域課題やSDGsなど、生徒達自身が解決したいと思える社会課題を見つけてもらい、それを自分たちならどう解決するかを考えてもらいます。


そうすることで、身の回りの社会課題に気づけるようになり、それらを解決するための問題解決能力、思考力、創造力が高まる効果があります。


また、社会課題の解決案を生み出すということを体験することによって、生徒達への達成感や自信、学びへのモチベーションへ繋がります。


さらに、「MESH」を使ったワークショップもご用意していますので、テクノロジーが私たちの生活に実際どう関わっているのか、それをどう活用していくかも学ぶことができます。



 

まとめ

PBLには元々2つの意味があり、現在主流になっているのは、Project-based LearningのPBL研修です。

また、教育現場で活用されることが起源のPBLは今でも多くの教育現場で活用されており、さらに、それぞれの活用方法が生み出されています。


FROGS流PBLワークショップでは答えが一つではない社会課題の解決策を実践的に探すことで、問題発見力、課題解決能力などを高めることができます。

また、これからの時代に必要な「生きる力」を身につけた人財育成にも役立ちます。


弊社PBLワークショップが気になった方はこちらから内容をご確認ください。


■参考

多摩美術大学「PBLの事例

アサンプション女子国際中学校高等学校PBL(課題解決型)授業

ノートルダム女学院 中学高等学校PBL(課題解決型)授業

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