2030年までに目標を達成するため、世界各国で取り組みがされているSDGs(持続可能な開発目標)ですが、今回はそのSDGsに掲げられている目標1の「貧困をなくそう」について詳しく説明します。
SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、2015年の国際サミットで国連加盟国193カ国の国々が2030年までに達成しましょうと定めた目標です。
目標には発展途上国から先進国、さらに地球全体の問題まで取り上げられており、それら社会問題を大きく分けた17の目標と、具体的に解決しなければいけない169のターゲットとして分かれています。
こちらがSDGs17の目標です。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレをみんなに
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
目標1「貧困をなくそう」以外の目標にも興味がある方はこちらからSDGs17の目標と169のターゲットをご覧ください。
SDGs目標1の貧困をなくそうとは?
今回は、SDGsにある17の目標のうち目標1の「貧困をなくそう」について詳しくご説明します。
そのため、まず、具体的な社会問題と解決方法が記載されている目標1「貧困をなくそう」のターゲットを全てご紹介します。
1.貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
「貧困」とは?
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があることをご存知でしょうか。
絶対的貧困とは、衣食住における人間らしい生活の必要最低条件が満たされていない状態のことです。
また、SDGsでは目標1「貧困をなくそう」のターゲット1.1にある極度の貧困を、当初世界銀行が定めていた1日1.25ドル未満で暮らす生活のことを意味しています。
しかし、SDGsが採択された後の2015年10月にその基準が現在の1.9ドルまで引き上げられたので、SDGsには1.25ドルと記載されていますが、極度の貧困は1日1.9ドル未満で暮らす生活のことを指します。
1.9ドルは日本円で約202円(2020年8月時点)になります。世界中には約202円で、衣食住にかかる1日分の費用を賄わなければいけない人が大勢いるのです。
世界銀行の最新版の貧困統計データでは、7億3,600万人が極貧状態の中で生活をしており、そのうち4億1,300万人はサハラ以南のアフリカの方々と発表されています。
相対的貧困とは、国や社会、地域など一定の母数の大多数より貧しい状態のことを意味します。
日本では年収が約122万円以下の場合は、相対的貧困に該当すると言われています。
厚生労働省が発表した「平成28年国民生活基礎調査」では、日本の相対的貧困率は15.6%で、7人に1人が貧困状態にあると言われています。
相対的貧困は絶対的貧困に比べると、貧困家庭だと外から分かりづらく、必要な支援が届けにくいという課題があります。
SDGs目標1「貧困をなくそう」への取り組み事例
次に目標1を達成するためにどのような取り組みが行われているのかをご紹介します。
フェアトレード(公正取引)
フェアトレードとは、発展途上国で作られている製品や原料などを正当な対価で継続的に購入することで、生産者や労働者の生活の改善と自立を目指す運動です。
従来型の途上国への一方的な支援や援助だけでは継続性にかけるという問題がありましたが、フェアトレードでは途上国で生産されたものを私たち消費者が正当な価格で購入することができるので、身近な国際協力の形といえます。
子ども食堂
子ども食堂では、主にNPO法人や地域住民によって運営されている食事を提供するコミュニティです。
その目的としては、「地域交流」と「子どもの貧困対策」の2つがあります。地域の交流を増やしながら、経済的理由や家庭の事情で栄養のある食事ができない子どもたちへ食事の支援をするという社会的な役割を担っています。
託児所や保育園の増加
日本の相対的貧困の割合はひとり親世帯が多いといわれています。
その原因として、親が1人しかいないので収入が減ってしまう、子育てと仕事の両立が難しく正社員としてフルタイムで働けないなど様々な理由があります。
それらの理由を解決するためにも、日本では託児所や保育園の増加が進められています。平成29年の保育所等の数が32,793か所に対し、平成31年には36,345か所に増加しています。
2019年に出された厚生労働省の待機児童等に関する資料では、待機児童の数は減少しているものの、1万6,772人の待機児童がいると報告されています。
貧困をなくすために私たちにできること
次に、貧困をなくすために私たちができることは何か考えていきたいと思います。
まず、真っ先に思い浮かぶのは寄付ではないでしょうか。
ユニセフやチャイルドスポンサーシップから寄付をすることで発展途上国の子どもたちを支援することができます。
また、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達するクラウドファンディングでは、少額から貧困に関するプロジェクトへ支援することができます。
寄付の他にも上記で述べたように、私たちの日々の買い物の中で、なるべく、国際フェアトレード認証ラベル製品を購入するようにすることも、私たちが貧困をなくすためにできる小さな支援です。
1人でも多く、SDGs目標1の「貧困をなくそう」について考え、行動を起こすことが貧困をなくすための鍵だと思います。
最後に
弊社では国際社会の共通目標「SDGs」を子ども達へ理解してもらい、課題をどう解決するかを考えるワークショップを行なっています。
FROGS版SDGsワークショップ
弊社のSDGsワークショップでは、小学校高学年以上の学生向けのグループワーク形式のワークショップを行なっております。
まず、SDGsについてや、17の目標を子供達にも分かりやすく説明した上で「2030年、幸せな社会とは何か?」という問いを子ども達に考えてもらいます。
その後、自分たちが求める幸せな世界はSDGs17の目標のどれに当てはまるか、またそれを実現させるには今現在どのような課題があるのか、それをどう解決するかまでを考えてもらい、最後には発表をしてもらいます。
このように今起こっている課題に対して、自分だったらどのように解決するかを考えてもらうことで、課題を「自分ごと」にし、行動を促すワークショップとなっています。
2019年1月に行なったSDGs研修では、子ども達メインのワークショップに保護者も混ざって一緒にワークショップを行いました。
そこでは、子ども達、保護者が考える2030年の幸せな世界について議論していました。このようにFROGSでは、子どもと大人が混ざってワークショップを行う研修もご用意しております。
また、その様子を沖縄地元紙の琉球新報さんがまとめてくださったのでぜひ、こちらからご覧ください。
弊社のSDGsワークショップについて気になった方は、各種研修紹介ページからお気軽にお問い合わせください。
参考
世界銀行 世界の貧困に関するデータ
国際連合広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)報告2019
厚生労働省 保育所等関連状況取りまとめ
厚生労働省 待機児童の状況(年齢別)
Comments